☆2004/09/11 大和田稔さん、第12回ユングフラウマラソン参加報告(レース編)

●コース下見とゼッケン受け取り
 ツアー最初のイベントはコース下見であった。ただし、車がほとんど入れないコースなので、ユングフラウ観光をするついでに登山鉄道から本当に「見る」だけである。自分の脚で確かめられたのはラウターブルネン駅を下りてすぐの通りで、ほぼ中間点あたりである。コース上には応援の横断幕がすでに掛けてあり、レース気分が盛り上がる。通りに面した時計屋のウインドーには過去のユングフラウマラソンのゼッケン(10枚ぐらい)が自慢げに貼り付けてあった。店のオーナーあたりが毎年のように出ているのだろう。そして、クライネ・シャイデックまで登山鉄道で移動しゴールを確認する。ゴールの設営は、高校生らしき子供達が行っていた。学校は休み?。

 ゼッケンの受け取りは大会前日。午前中グリンデルワルトでトレッキングを楽しんでから、午後ホテルをインターラーケンに移動してからである。インターラーケンにはオスト(東)駅とヴェスト(西)駅の二つがあり、その間約1km。二つの駅を結ぶのはほぼ直線のヘーエヴェーク(通り)。観光のメインストリートであり両側にはホテル、レストランにギフトショップで観光客が賑やか。通りの看板の文字は中国語にハングル、勿論日本語もある。この通りは大会コースでもあった。宿泊したホテルはこの通り沿いでオスト駅寄りの昨年も利用した所、ゼッケン受け取り会場まで徒歩3分と近い。

 二つの駅の真ん中あたりのヘーエ通りに面したカジノ・クアザールという建物がゼッケン受け取り場所である。この建物はコンサートホール、レストラン、カジノがあるようだが、当日は大会一色。受付のほかに、スポーツメーカーのブース、前回のレースのビデオ上映、Tシャツ等の販売、それにスイスらしく?チーズの販売で賑やかである。

 ゼッケンの受け取りには、パスポートの提示が必要だった。結構、厳しい。カーボパーティは12スイスフラン(成田空港で1スイスフラン=95.51円)と別料金。パスタと言えばスパゲティー。こちらのスパゲティーは「こし」が無くなるまで茹でるので不味いとの話。この日は行きたいレストランがあったので、それを確かめることはしなかった。

 大会前日は子供達のレースがいくつも行われていた。スタートゲートはヘーエ通りをまたぐように設営されており、カジノ・クアザールの入口前である。通りを挟んでカジノ・クアザールの反対側が野球ができるくらいのヘーエマッテという広場。スタートゲート下をスタートしその広場の外側を右回りにまわってスタートゲートにゴールする500mぐらいの距離で行われていた。スタート直後から勢いよく飛ばしコースの半分も行かないところで、後続の集団に抜かれる光景はどこの大会でも見かけるものだ。

●いよいよレース
 午前4時半のモーニングコールが本当あるのか確かめるように目が覚めた。まだ外は夏時間を利用している事もあり暗い。6時過ぎに明るくなりだす。5時半にツァーで用意されたおにぎり弁当を受け取る。この弁当は日本人が経営している弁当屋さんで作っている。レース前の弁当としてはおにぎりだけで十分で、キンピラゴボウや鮭、フライはレース後にと残した。おにぎり以外には、前日COOPで買ったトマトジュース。そして、あんぱんがレース前には必要なのだが、こちらにあるはずも無く、日本からあんこの缶詰を用意していた。食パンに挟んで「あんぱん」の出来上がりである。

 スタートは8:45。ホテルに荷物を置いてアップをする。天気は雨が降り出しそうな曇り。2kmぐらい軽く走り、ストレッチでアップ終了。ホテルからスタート地点までは3分も掛からない。ツアーで走るのは7人と少ないがスタートゲート下で「完走するゾー!!」と気合入れ。それを見ていた地元テレビ放送?のカメラマンが、「もう一度」と言うので、リクエストに応える。

 スタートゲート下ではスイスらしくホルンの演奏。気分が盛り上がる。コースが片道なので、荷物は30分前までにトラックに預けるが、荷物を預けた頃にとうとう雨が降り出した。ゴールの標高は富士山の5合目より低いが雨が降るとかなり冷え込むらしい。長袖のTシャツは用意していたが、もう遅い。ランシャツ、ランパンと用意していた手袋で行くしかなかった。

 スタート10分前になると、スタートゲート下では、シード選手?の紹介が始まった。お立ち台まで用意してだ。まずドイツ語。次にフランス語だった。その選手達のゼッケンは一般参加の我々と違う色のゼッケンで二枚のうち一枚はその選手の名前らしい。200番まではシード選手のエリアとなっていたが、男女合わせて50人ぐらいだった。

 スタート寸前まで選手紹介をしていたが、予定通りの時刻、8:45にレースはスタートした。後ろから押されることもなく、比較的ゆるやかに走り出せた。1kmの通過が3分50秒と予定のキロ4分ペースよりちょっと速い。インターラーケン市内を時計回りに回り、3km過ぎにもう一度スタートゲート下を通過していよいよユングフラウを目指す。2km過ぎに前日のレストラン前を通った。夕べの「あの子」を探したが見つからず残念。5km通過が19分27秒で、ちょっと速いと思ったが仕方が無い。目標は25kmまではキロ4分ペースで、と思っていた。

 沿道の応援は、やっぱり日本とはちょっと違う。バンド演奏をしているところが何箇所かありレースでなければ、じっくり聴かせてもらいたいところもあった。沿道の両側に10人ぐらいで20リッターのバケツを逆さにしたようなカウベルを鳴らすところがあり、正直やかましかった。それから子供が手にした玩具のようなものを振りまわし、「ギーギー・・・」と音を立てていた。これも結構うるさい。日本でなら「がんばれ!」なんだと思うが「ポッ、ポッ、ホッ、・・・」と聞こえる声援を聞いた。「俺はハト?!」。どうも「hope」の連呼のようで「ホップ、ホップ、ホップ・・・」が・・・。

 住宅街を抜けて川を渡る橋が屋根も壁もある「マディソン郡の橋」には、ちよっと感動。10km手前で、ツアーで一緒の池B君に追いつく。彼は30歳で奈良県から一人で参加。今年の富士登山競争では俺の二つあとにゴールしていた。「どう、調子?」と聞くと「きついです。」とニコニコしながら応えてくれた。

 10km通過が39分23秒(この間19分56秒)。この頃には雨は上がり、雲の切れ間に日が差し、雨の心配はなくなった。手袋もすでに背中側のランパンに挟んでいた。このあたりから、民家の裏庭のようなところを通り、川沿いのコースに入り徐々に上り勾配となる。グリンデルワルトへ行く乗換駅であるラウターブルネン駅の手前が15km。1時間00分11秒(この間20分48秒)で通過。上り勾配を考えると目標のペース。

 10km過ぎあたりから離れないランナーが一人。小さなアップ・ダウンやコーナーを利用してちよっと、引き離そうとしたが離れない。無理をしないことにした。それより余裕がある振りして「Where are you from?」 と聞いてみればよかった。この「Where are you from?」 、まさか日本人の観光客に質問されるとは思っても見なかった。(詳細は「観光編で」)

 牧草地の端や林道を抜けて線路の下をくぐると、コース下見をしたラウターブルネン駅の通り。添乗員のS口さんがデジカメを構えているはずなので、遠くから両手を挙げて存在をアピールすると沿道の人が手を振って応えてくれた。「あんたじゃないんだけど・・・」と思いながらも「スイスの人はいい人だ」になった。無事S口さんを見つけ、預けていたウイダーINゼリーエネルギーインを受取る。20km地点はそんなことをしていたので見逃した。

 25km地点は川沿いの本当に狭い道。1時間42分57秒だからほぼ目標通りだった。いよいよ、ここから先が勾配が急にきつくなり、このマラソン大会の楽しみどころ。26kmの看板が坂の頂上付近に見える。ここまでの距離表示は1km毎にあり、走りやすかった。26kmを過ぎると想像を越えた勾配と辛さが一気に押し寄せた。ここから先は250m毎の距離表示となり、それだけペースが落ちるということだった。

 「想像を越えた勾配と辛さ」と格闘を始めた頃、池Bくんにあっさりと抜かれる。「きついですぅ〜」と言いながら、あっという間に見えなくなった。「ゴールするまでには・・・」と思っていたが、結局彼と再会するのはホテルに戻ってからだった。

 乳酸でパンパンになった両足をだましだましペースを落としながらも周りの景色を楽しんでいた。登山鉄道では見る事のできない集落や街中は楽しかった。上り坂の頂上付近で「ジャポン!、ジャポン!」と声援を受ける。ゼッケンに「JPN」と国名入りだったのだ。スイスの人はいい人だ。池Bくんに次いで日本人2位で走っていた。

 30kmは2時間22分48秒で通過。さしたる勾配でもないのに走れない。痙攣の兆候が現れたので歩くことにした。それでもなるべく速くと、パワーウォーキングで。でも、歩き出すと際限無く抜かれだす。エネルギー補給をしたはずなのに空腹感が出てくる。走りこみが出来ていない証拠、「練習はウソをつかない」である。

 35kmは3時間08分38秒で通過。林道を抜ける手前、コース上にカウベルを下げた牛達がたむろしていた。「じっとしてろよ!」と願いながらすり抜ける。牛たちにとっては何時も静かなのに迷惑だったのだろう。

 林道を抜けると視界がひらけ、ユングフラウから続く氷河の壁が見えてくる。時刻は昼頃であり天候が良いので、まぶしいくらいだ。レースを忘れてしまいそうになる。富士登山競争では、ほとんど足元だけしかみないので景色を楽しむことは無い。あそこは良かった。登山鉄道からは見られない景色である。

 コースはまた登山鉄道沿いに戻ってきて車窓からも声援を受ける。38kmあたりの給水所でブイヨンスープを口にする。これは日本の大会には無い。この大会は寒くなることがあるので、暖かい飲み物を用意しているようだ。30km過ぎからあることはわかっていたが、水と日本には無いスポーツドリンクに飽きてきたので試してみた。飲んでみて「アッ!」と気がついた。もしかして脚が動かないのはナトリウム不足では?と。時すでに遅しである。

 38kmを過ぎると登山鉄道からまた離れて、いよいよラストの登山道になる。登山道では追い抜くことは難しい。右手のユングフラウが覆いかぶさるように迫る。40kmは4時間00分39秒。フルマラソンの自己ワーストタイム更新だと気がついた。

 「がんばれ〜!」の聞きなれた声援。顔を向けると日本の女の子。思わずニコニコしながら「疲れました!」と応えたら、「わっ、日本人!?」と驚かせてしまった。その子は隣の女の子に「あの人、日本人よ!」と大発見したように話している。言われた子は「あれが日本人なら世界の半分は日本人だ」みたいな顔をしている。日本を立ってからの無精ヒゲでサングラスをしていたのでそう思ったのかも。

 左手に斜面を横切るように走って行くランナーの列が見えると、コース最高地点(標高2205m)はまもなく。ブイヨンスープがやっぱり効いたのか、脚は動き出した。前方にバグパイプを演奏するオジサンがいる。この大会名物?らしく、この辺に毎回いるらしい。曲は日本では「蛍の光」。「早く、下校するべぇ!」と思った遥か昔を思い出す。

 最高地点を左折するとゴールまで一気に下りかと思ったら、結構小高い上りに線路越えがあったりする。それでも、クライネ・シャイデック駅を左手下に見下ろし、ゴールが見えた時は嬉しかった。4時間以上も掛かっているのに、このままゴールするのが惜しいとも思う。

 ゴール直前、S口さんがいるはずの場所で探すが見つからない。そのままゴール。目標タイムより1時間以上も遅いのに、なんだか楽しかった。

●ゴール後・・・。
 S口さんは、周りを見回す俺をしっかりデジカメに収めていた。約束の場所では逆光になるので反対側に居たというが、自分の場合、順光でもたいして差はないだろうにと思う。

 完走メダルを首からかけてもらい、電車の格納庫に荷物を探しに行くと荷物の山。俺って、結構速いほうなの?。RCチップ(日本の大会でもお馴染みのもの)を返し完走Tシャツを受取る。

 男子更衣テントでシャワーを浴びようと思っていた。ベンチに腰掛て見回すと、当然着替えているのだが、素っ裸なのだ。日本でならいくら男子更衣室と言えども、腰にタオルやジャージを回して着替える。外人の○×△◆って、普段も×××なんだと聞いていたがウソではなかった。そんなのをいくつも見てしまったら、シャワーなんかどうでもよくなり、テントの隅で日本式?にさっさと着替えて出てきてしまった。

 長袖のTシャツとロングタイツでは暑かったと言いながら「かみさん」も無事ゴール。この大会は6時間30分が制限タイムなのだが、ツアーの7人のうち一人は残念ながら途中リタイヤ。他の6人は全員制限時間内に無事ゴール。

 インターラーケンまでの帰りはゼッケンが登山鉄道の切符になっていて、ゼッケンがあればこの日はフリーパス。ゼッケンで他に行って観光できるか聞いてみたが、残念ながらダメだった。

 帰りの電車を待つ間に飲んだビールは最高に美味かった。

 次回は観光編です。

 観光はユングフラウのほかには、グリンデルワルト、ツェルマットでしてきました。ツェルマットでのマッターホルンは感動でした。
コース下見
キッズレース(1)
キッズレース(2)
マディソン郡の橋?
無理すると・・・
人間ウォッチング?
バグパイプのおじさん